■2019/06/02【works・日記】3pins stool~木をめぐる冒険~

 

さて、森での生活にだんだんと慣れてきた頃の話をしたいと思う。
僕は森で自由な製作の場所を手に入れたなら、その時にはぜひ作ってみたいなと思っていたものがある。
それはスツール。

つまり、座面と足だけの簡易的な椅子、イメージとしては理科室とか、図工室だとかにあるあれだ。
どうしてそういうのを作りたいのかというと、理由はよくわからないけれど、要するに「手ごろ」だと感じたからだと思う。

本当は椅子をつくりたいけど、肘かけとか背もたれとか、いろんな角度で部材が組み合わさってむつかしそう・・・なんていう多少消極的な理由だったかもしれない。

スツールを作ろうと思い立ったら、まずは材料の調達だ。
座面には、前の会社で働いてた時に何かの機会でもらった「タモの集成材」を使おう。
足はどうしようか。

手持ちの材はスプーンとかキーホルダーといった小物を作るのにはちょうどいいけど、人間の体を支えるには心もとないような材料ばっかりだ。
どこかで調達しなくてはならない。。。ここから僕の「木をめぐる冒険」が始まることになる。

そこでまず向かったのが近所の材木屋。
昔っからやってる地域の老舗。

行ってみると建材用のスギ・ヒノキが中心であんまし家具になりそうなものは扱っていない様子。
なにか「こんな感じの」みたいなのが具体的に決まってるなら取り寄せてもらえるとのことだった。

次に行ったのが車で一時間ほど走った場所にある材木屋。
こちらは家具に使えるような広葉樹をいろいろ扱ってるところで、お店の感じも一般人にも入りやすい雰囲気、、、
なのだけれど、如何せん価格が・・・ね。

ウォールナットの一枚板10万とかはとてもじゃないけど手が出ない。
店内をプラプラしながら、いろいろ探すけど、手ごろなのがない。
もう少し自信がついたらこういう材でやってみたいものだと思う。

さて、ここまで訪れたお店でいろいろ質問した結果、なんとなーく木材に関することが分かってきたような気がする。
一言でいえば、「けっこう高い」ということだ。

売れる当てもない、というか、そもそも完成させられるかわからないもののための材料に何万円も費やす経済的な余裕は僕にはない。
さて、どうしたものか・・・。

ということで色々と考えをめぐらす。
前に岐阜で、伐木体験のイベントに参加した時のことを思い出す。
たしか、そのときに聞いた木の値段はそんなに驚くほど高くはなかった。
というか、林業という仕事がよく成り立ってるなーと思うくらいに「安すぎない?」というような価格だったように思う。
まぁ、具体的にいくらだったかは思い出せないけれど。

もしかしたら製材されていない、原木の状態の木なら相当に安いのかもしれない・・・
ということで、再び森のほうへ戻り、「丸太の集積所」(正式になんて呼ぶのかわかんない笑)みたいなところに行ってみた。
山奥にあるその場所に軽トラックを走らせる。
細い山道をくねくねと登るとそれはあった。
広い敷地にどうやってここまでの細道を登ってきたのか?と不思議に思うような大型のトラックが何台も停まっている。
なんか場違い感がすごい・・・と緊張しながら、事務所の前に車を停めて室内にいた小太りの眼鏡をかけたオジサンに声を掛ける。

「どうも、こんにちはー。」
「・・・・・」
小太りオジサンははいぶかしそうに僕をみつめこう言う。
「どうされました?」
「あのちょっと聞きたいんですけど、ここって、一般人でも丸太を買えるんですか?」と僕が聞くと
「・・・・・えと、買えなくはない・・・・んでしたっけ?」と隣の席の人に目配せをして確認を取りつつ答えてくれた。
その答え方には「そんな奴いないけどね」という感じがにじみ出ている。

「一本から?」
「ええ、一本から」

「なるほど、、、ちょっと見せてもらっていいですか?」と許可をとって場内を見て回る。
小雨が降ってきていた。

材はカラマツばかりだった。
この辺は上質なカラマツの産地とは聞いていたけど、同時に、カラマツは「暴れる」材だという話も聞いていた。
反ったり、捩じれたりが大変らしい。

それに、そこに積み重ねられていたのは4mの丸太が主だった。短いので3メートル。
軽トラで運ぶのは難しそうだった。

ぐるっと一周して、事務所に声をかけて集積場を後にする。
・・・ここでもないか。

「もっと手ごろな感じのでいいんだよなぁ」と思いつつ山道を下る。
40センチくらいに玉切りされてて、程よく乾燥してて、、、
と思うと、それって「薪の材料じゃん!」ということで近所の薪屋さんへ行ってみる。

店先で何もしてないでぼーっとしてたオジサン(失礼)に声をかける。
「あの、薪の原木が欲しいんですけど、」と声をかけると、
桜の木でいいなら、この間切ったのがあるから、好きに持って行っていいよ、と言って、桜の木までの道順を教えてくれた。
のだけれど、いまいちわからない。
僕は道を覚えるのが苦手だから。
たぶん近しいところまで来ているはずなのだけれど、いまいちどこなのかわからない。
というか、たぶんこれなんだろうな、という桜の丸太のところまで来たのだけれど、道を挟んで反対側にも切られた桜の木があって、
明らかに民家の庭先、という雰囲気の場所だったので、なんとなく勝手に足を踏み入れていいものか、ましてや勝手に持って行っていいものか、と思案して、
やっぱやめとくか。。。てな感じにスルーして森に帰ってしまった。
帰り掛け、ホームセンターへ行って、広葉樹の薪、一束700円を買って帰る。
本当は原木の状態を手に入れて、自分で製材したいなとおもってたけど、まあ、割れててもいいや、ということでこれを材料に作ることにした。
樹種はよくわからないけど、ナラなんじゃないかと思う。

一束700円っていうと、重さでいえば、製材された材と比べたらほとんどただみたいな値段と言ってもいい。
もちろん、製材されたものは節もよけてあるし、きれいなんだけど、如何せん高すぎる。
薪の材を使えば、1/10とか1/20のお金で手に入るとなれば、これを使わない手はないじゃないか、という気がした。
ジモティーで調べるとナラとか栗とかの原木が軽トラック一台分で5000円とか8000円とかで売ってる。
しばらくしたら、チェーンソーを買って自分で製材するようにしようかと思う。

ということで材料が手に入った。
ナタで割るようにして、ちょうどいい足としてちょうどいい太さに材を加工する。
タモの集成材に突き刺して完成したのが、この「3pins stool」です。

まだまだ改善の余地は多々あるけど、
なんとなくキノコみたいな曲線が気に入っている。
自分で使うなら十分な代物だなと思う。
売るにはまだまだ。って感じ。

薪の材料を使って家具をつくる。
それはそんなにいい材料ってわけじゃないけど、なんとなく生活に密着したものが出来上がるような気がしてる。
生活の中で使われる物、気兼ねなく使って、使い倒されるような物を僕は作りたいと思っているから、
もしかしたら、薪用の原木というのは僕の主な素材になるかもしれない。
焼かれて灰になるはずだったものが家具としての役割を担う。
原石を掘り出すような感じで、ちょっと素敵なものづくりなんじゃないかという気がする。

薄汚れた埃っぽい薪も割ってみると中身が驚くほどきれいな肌をしていた。

 

 

 

 

 

 

2019/06/02
junota