■2019/04/14【日記】#15.「放問亭(ほっといてい)」でお引越し。でも、ほっとかないでっ!

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3月の白樺高原はまだまだ寒かった。
午後8時、あたりは真っ暗でいくつもの星が頭上で瞬いている。夜空を見上げながら、僕はハァ、、、と溜め息をついて、山のくねくね道の路肩で独り立ち尽くしていた。

「もうちょっとだったのになぁ・・・。」

沼津市役所で転出の届けを終えた僕は長野の森へ向かって車を走らせた。

第2便のはまさしく満杯状態だった。放問亭(ほっといてい)の中は本の入ったダンボールの山、デスクトップのパソコン、布団、毛布、寝袋、大工道具、衣類やらなにやらがギッシリ。沼津を出たときには開けておいたはずの助手席にも、何故かアコーディオンやらどんぐりの木の苗やらがのっている…。

さて、僕は沼津から北上して山梨に入り、途中幾度か休憩しながら長野へ向かう。第一便の時と同じルートを通るのはつまらない、なんてことを思って今回は白樺高原を抜けていく道を選んだのだけれど、これが間違いだった。坂が急なのである。トラ箱だけでも重たいのに、今はその中にギッチリ荷物である。風光明媚な風景の中、僕は後続車に煽られ煽られ北上する

この山を超えれば長野に入る。そしたらもう30分も走れば到着だ、なんて思いながら走っていると日が暮れてきた。道路脇にはまだ雪が残っている。急なカーブには塩カルがまかれ、凍結注意、スリップ注意の看板が立つ。
「まだここは冬なんだなぁ」と思いつつ、慎重に車を走らせる。

そして、また煽られる。
こちとらアクセルベタ踏みなんだけども、、、

と思いながら、トロトロ走っているのも事実なので、ここは路肩に入って先に行かせよう!とハザードを点けてカーブの先の路肩に車を停める。後方の車は猛スピードで僕の横を通り過ぎてゆき、僕は再びトロトロと長野へ向かう・・・

と、なるはずだったのだけど、実際はこんな感じ。
「先に行かせよう」
「ガサガサガサッーーーガガガ、、、、」
(びゅーん)←後続車の通り過ぎる音
「・・・」
(きゅるきゅるきゅる、、、)←タイヤの空転する音
「・・・やってしまった。」

そう、その路肩は雪どけ水でぬかるんでいたのだった。そこに、まんまとはまりこんでしまった放問亭(ほっといてい)は前にも後ろにも身動きがとれなくなってしまったのでした。

幾台かの車が僕の横を通りすぎる・・・。
この時ばかりは「ほっとかないで!」と思ったのだの行いが悪いからか、ほうっておかれ続ける笑

もう自力じゃどうにもならないから、と携帯を取り出しレッカーを呼ぶ。

「・・・圏外じゃん!」

と車外に出て、ため息をつく。
こんなときの空は不思議といつも綺麗なものだ。

「はてさて、どうしたものか」なんて考えていると一台の車が停まり、「大丈夫ですかっ!?」と声がかかる。

僕がまだ何も答えないうちに「電話通じないでしょ、通じるとこまで送ってやるから乗んな!」とその親切なオジサンはドアを開けてくれた。

2キロほど下って電波が入るところで保険会社に電話して、レッカーを呼んだ。場所の説明やらなにやらはそのオジサンがしてくれた。

「○○○○という業者から電話かありますので、直接そこで場所を説明してください。」
と言われ、待っていたのだけれど、いくら待っても○○○○から電話は掛かって来ない。といっても5分くらいだけど。

どうも保険会社と業者のやり取りがうまくないらしい。

「こんちくしょう。おれは早く帰ってビール飲まなきゃなんねぇのによ。」とオジサンは携帯を取り出し。電話し始める。

「おい、アキ!おめぇ、今日仕事でてんのか?ぬかるみにはまって動けなくなったガキを拾ったんだけど、すぐ来れねぇのか!なに?当番じゃない?ばか野郎なんで当番じゃないんだ!てめぇか来いよ!ポチ、ツーツーツー・・・」

聞くと、○○○○は幼馴染みの勤める会社らしい。そうこうするうちに○○○○からちゃんと電話がかかってくる。

オジサンが場所の説明を再びする。途中で「あれ、もしかしてサトウさんですか?元自衛官の?」なんてことを言っている。「その節はお世話になりましたぁ、いやぁ久しぶりですね。」

どうもその○○○○のサトウさんともこのオジサンは知り合いらしい。

「おれは、政治家の秘書やってたから無駄に顔が広いんだ。」

僕を現場に送り届け、オジサンは山を下っていった。

オジサンがくれたチョコレートを頬張りながら僕は夜空を見上げる。

しばらく待つと先程の「アキ」さんが来てくれて、泥沼から引っ張り出してくれた。
「地元の力ってこういうことをいうのかもなぁ、、、」としみじみとしながら僕は「慎重に」山を降りていく。

途中、2頭の鹿が道路の真ん中をのんびりと歩いていた。

今になって思えば、これはジモトの力がどうとかいう話ではなく、あのオジサンが少しばかり「特殊」だっただけかもしれない。

とはいえ、とてもとても助かった。
おかげで無事に森に着くことができました。

2019/04/14

junota

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